◆歯科受診の注意点 糖尿病の患者さんがふえているようですが、歯科受診をするときの注意点が3つあります。
第一点は、術後感染しやすいことに対する認識です。特に抜歯においては、口腔内常在菌が血管中に入り、菌血症が生じることが往々にしてあります。健康な人では無症状に過ぎてしまうことが、糖尿病の人の場合は、重症化する場合があるのです。
ただ、すべての糖尿病患者さんが危険なわけではなく、ハイリスクになるのは、血糖コントロールがうまくいっていないマイナーケースです。日本糖尿病学会では、「合併症予防の観点からヘモグロビンA1Cの目標値を7%未満」という目標を発表しており、この値を一つの目安にしておいて下さい。また、血糖コントロールが良好な場合でも、抜歯などの出血を伴う処置の際は、術前・術後に抗菌薬の内服を十分に行うことと、局所消毒をよく行ってもらい感染予防に努めることが必要です。
第二点は、傷が治癒しにくいことの予知です。糖尿病ケースは高血糖による血流障害や神経障害などがあるため、傷が治りにくいです。日常生活で生じる小さなけがでも健康な人と比べて、治りきるのに時間がかかるので、抜歯や歯周病の手術などでは、この点をを予想しておいて下さい。
第三点は、歯科疾患や治療行為により血糖値が変動する可能性があることです。歯や歯ぐきが痛くて食事がとれない場合は、血糖値が低下しやすくなりま
す。また、治療中に受けるストレスや麻酔注射によって、血糖値が上昇することもありますね。さらに、血糖値の上下に起因して、高血糖や低血糖が不可逆状態になる場合も。歯科診療を受けるときは、食事直前の時間帯をさけて、糖尿病治療薬の通常使用をしてください。 また、療養意欲を高めるために、下記のような医科歯科連携手帳を用いるのもいいですね。
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