摂食嚥下障害とは 脳卒中や脳外傷などで脳に損傷が生じた場合、
現れる症状は損傷が生じた部位によって異なりま
す。このうち40%が摂食嚥下に障害をきたす原因
になるといわれています。 摂食嚥下とは、食物が認知
されてから口腔へ運ばれ、咀
嚼して飲み込みやすい形態に
して嚥下する過程をいいます。
その過程は、
- 先行期:食物の認知・口へ
の取り込み
- 咀嚼期:口腔への取り込み、
咀嚼、食塊の形成をする
- 口腔期:舌根部・咽頭への送り込み
- 咽頭期:咽頭の通過、食道への送り込み
- 食道期:食道の通過
以上の5つに分かれています。
摂食嚥下障害の症状は、障害の程度によって異
なります。そのため摂食嚥下訓練は飲みこむ過程
のどこに症状と問題があるのかを把握し、早期の
経口摂取をめざしたアプローチをすることが重要
です。
多職種協働での摂食嚥下訓練
経口摂取の確立に向けて、摂食嚥下訓練パスを用いて訓練を実施していきますが、これには、間接訓練と直接訓練があります。
まず間接訓練とは、いきなり食物を用いずに、体に刺激を加え、機能の改善や食べる動作ができるようにする訓練です。他方、直接訓練は、実際の食物を用いて一連の摂食動作を通じて行っていく方法です。 経鼻胃管や胃ろうなどの経管栄養を用いている
患者が入院・転入してきた際、言語聴覚士によってこうした間接訓練が始まります。その
後、看護師による直接訓練の移行前に、開始基準に従い評価を行います。
その評価は、
- 言語聴覚士による嚥下訓練
の様子はどうか
- 摂食嚥下訓練パス開始要件にあてはまるか
の2点です。 食物はまだまだとされた場合は、(1)の言語聴覚士
が行う訓練に合わせて、看護師が嚥下訓練習記録表を用いて練習し、ある程度成果が出たら次へ進みます。 (2)の開始時期は主治医・看護師・言語聴覚士の多職種で検討しますが、摂食嚥下訓練パスに基いて行います。内容は、(1)食物摂取を想定し適切な姿勢が保てるか、(2)必要な時間を維持できるか、です。 ここでは理学療法士や作業療法士も参加し、工夫・配慮を行います。また更に、(3)口腔内の状態(歯・舌・
歯茎や入れ歯の状態)を観察し、ここでようやく歯科受診も俎上に載せるのです。
多くの患者さんが「口から食べること」ができるように歯科の出番を多くしていきたいですね。
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