口腔ケアとは、狭い意味では、本人の口腔清掃のことですが、広い意味では、口の機能を保つ訓練までも含まれます。今回のテーマである、脳卒中のリスクを軽減するための口腔ケアとなると、「治療的に」口の中を清潔に保つことが主要になります。 脳卒中は、脳の血管が破れたり、脳の血管が詰まったりする病気ですが、後者の脳梗塞の軽減には口腔ケアがとても役立ちます。 脳梗塞の主な危険因子は、高血圧、高脂血症、糖尿病などです。したがって、飲酒、喫煙の習慣の改善、ストレスのコントロールなど、日々の生活の見直しが大切ですね。定期的に健康診断を受けて、これらの血圧や血糖値をしっかりと管理することが重要です。さらに口腔ケアを行い、特に歯周病を改善あるいは予防できれば、その結果脳梗塞のリスクが大きく軽減します。 口腔内が不潔で歯周病が進行していると、歯肉が出血しやすい状態にあるため歯周病菌は簡単に血管の中に入り込んでしまいます。血管の中に入った歯周病菌は血の塊
(血栓)をつくることに関わり、脳梗塞を引き起こすことになるのです。歯周病が重度になればなるほど、この危険性は増大して、歯周病の人は健全者に比べて、2.8 倍も脳梗塞になりやすいというデータがあります。また、日本では、成人の8割が歯周病にかかっているとされていますから、口の中を清潔に保つ治療的口腔ケアは、増々重要ですね。 日々の生活習慣の改善と口腔ケアの充実で、脳卒中のリスクを軽減しましょう。より良い口腔ケアの方法は、かかりつけの歯科医院やお近くの歯科医院で相談を。
|