歯科におけるインプラント治療は、今日ではめずらしいものではなくなりました。ブリッジ、入れ歯に次ぐ標準的な欠損補綴の一つと言えます。 インプラントについて、患者さんから「どのくらいもつか」ということをよく聞かれます。 スウェーデンのブローネマルク博士が現在のチタンを主としたインプラントを開発し、初めて患者さんに使用したのが1965 年。その報告以来、世界中で、喪失してしまった歯の代わりになる人工臓器としてインプラントの研究開発が行われてきました。初めて手術を受けた患者さんは当時34 歳で、その後41 年間、亡くなるまでそのインプラントは機能し続けました。 これまで世界中でさまざまなデータが蓄積されてきましたが、残念ながら全ての患者さんのインプラントが40 年以上もつというわけではありません。研究論文によっては98%とするデータもありますが、現在のところ、およそ10 〜 15 年間のインプラント生存率は90%をクリアできる程度と考えられています。 ただし10 年90%を達成するためには、定期的なメインテナンスが必要です。インプラントは人工臓器です。例えば心臓にペースメーカーを装着して不整脈が良くなったからといって通院をやめてしまう人はいないでしょう。 インプラントを長持ちさせるには、毎日の歯磨きに加え、3〜4ヵ月に一度の歯科医院でのチェックが重要です。歯周病や糖尿病の悪化や喫煙習慣も、インプラントの寿命に影響しますので、生活習慣にも気をつけましょう。 インプラント治療により、入れ歯で咬みづらかった人でも、満足できる咀嚼能力の回復が可能です。現在、世界中で多くの患者さんがその恩恵を受け、QOL( 生活の質) を向上させています。
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