人は加齢とともに唾液の分泌が減り、口の乾きが続く「ドライマウス」になりやすいです。ドライマウスは、むし歯や歯周病を悪化させる直接の原因になるため、若い頃とは違う口腔ケアが必要になります。 唾液を出す唾液腺は3種類。耳の前あたりにある耳下腺、顎関節の内側にある顎下腺、そして舌の真下にある舌下線です。 唾液腺は、加齢に伴って分泌機能が低下し、サラサラの唾液が十分に出なくなっていきます。唾液は本来口中のpH バランスを整えたり、殺菌したりする作用があり、これが減ると、むし歯や歯周病にかかりやすくなるのです。 唾液は、食べ物を噛むことで分泌が促進されますが、高齢者は歯科的な問題を抱えて、噛むことがおろそかになるため唾液が出にくくなるのです。また、持病で内服中の薬の副作用により口が乾くケースも。 唾液の分泌を促すには、手軽にできる唾液腺マッ
サージがお勧めです。3つの唾液腺は、それぞれマッサージのコツが異なり、耳下腺については、左右の上の奥歯あたりのほおに指をあて、後ろから前に円を描くように10 回刺激します。顎下腺では、顎の
カーブの内側を耳の下から顎の先にかけて左右5ヵ所、場所を変えて5回ずつ押します。舌下腺は両親指をそろえて顎の真下を10 回刺激で十分。 舌の運動も効果的で、前に3回大きく出す、左右に大きく3往復する、唇をなめるように舌先で3回円を描きます。アメをなめるのもいいですね。最近は、ドライマウス対策のアメも販売されています。「うるおいキャンディ」(アサヒグループ食品)はノンシュガーでpH バランスを保つように酸性層とアルカリ性層の2重構造になっています。 歯周組織については、歯周病が悪化すると誤嚥性肺炎の原因になります。加齢で飲み込む力が弱ると、口中細菌が誤って肺に入り肺炎を引き起こすのです。口腔を清潔にして細菌を減らすことが重要ですね。 一般に歯ブラシだけでは歯全体の7割ほどしか汚れが除去できないので、歯間ブラシやデンタルフロ
スを併用した方が遥かにいいです。また、手磨きの他、電動歯ブラシも短時間で効率よく磨けるので有効、こうした口腔ケアにより、高齢者の肺炎発生率が大幅に減少したという調査がたくさんあります。 口腔ケアを十分に行うには「かかりつけ歯科医」をもつことが大切です。むし歯がなくても、年に2〜3回は歯科を受診し、歯石や歯垢をきれいに取り除くことが望ましいです。 ◆シニアの口腔ケアのポイントは以下の3点
- 唾液腺マッサージや舌の運動をよくする。
- 食事はよくかむことを心がけて、タンパク質や 鉄分、ビタミンCをしっかりとる。
- かかりつけ歯科医で4〜6ヶ月ごとに健診をする。
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