私たちが食事をすると、食べ物の中に含まれる糖質が腸から血液中に吸収され、血糖値が上昇します。上昇した血糖の処理を円滑にするのがインスリンです。通常は食後2時間ぐらいで食事をとる前の血糖値に戻りますが、インスリンの働きが弱くなったり、不足すると血糖は高いまま下がらなくなります。このような血糖の高い状態が長期間にわたって続いていくのが糖尿病です。
糖尿病とは関係ないように思われるかもしれませんが、糖尿病と歯科疾患は切ってもきれない関係にあります。糖尿病になると、体の防衛機能が低下して感染しやすい状態になり、歯周病になりやすいし、その進行も早くなるからです。また、糖尿病の方が歯科治療を受けるときに気をつけたいことがあります。それは抜歯など、痛みや出血を伴う処置です。炎症やストレスに対する抵抗力が低下しているために抜歯後に炎症が長びいたり、膿瘍をくり返しやすくなります。
しかし糖尿病の患者さんが抜歯や歯科治療を受けられないわけではありません。血糖値がきちんとコントロールできているかどうかが大切なのです。空腹時血糖値が140mg/dl以下で、高血圧や狭心症などがよくコントロールされ、糖尿病薬を指示通り服用しており、処置に先立って抗生物質の投与を受けてあれば、普通の歯科治療は問題ありません。心配な時は主治医に相談して下さい。
また、糖尿病をコントロールするために生活習慣を見直すことが、他の疾患の予防につながります。一病息災ということもありますから、諦めずにがんばってください。
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