特別な消毒でうつらない処置が可能に
初診時に、問診票で肝炎にかかった経験があるかきいています。これは肝炎の患者さんでも使用器具の消毒を特別に行えば、何ら支障なく歯科治療(出血処置も含む)ができるからです。医院側からの聴き取り調査とお考え下さい。今回はこの肝炎について詳しくふれてみます。
肝炎は肝臓に起こる炎症全般をさしますが、一昔前はお酒の飲みすぎが原因の第一にあげられていました。その後、さまざまな原因が明らかになりましたが、原因別には、ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、薬物性肝炎、自己免疫性肝炎疾患に伴う肝炎などに分類されます。
これらの中でウイルス性肝炎は、以前はウイルスそのものは確認できないまま、伝染性肝炎と血清肝炎という2種類に分けていました。今ではウイルスが明らかになっているものだけでもA、B、C、D、E型があげられます。
ウイルス性肝炎の中で、経口感染するのがA型とE型、それ以外は血液を介しての感染です。かつて輸血によって避けられないとされていた肝炎(非A非B)の発症は、B型そしてC型のウイルスを徹底的にチェックする事によって現在はほとんど見られなくなりました。大変な進歩です。(最近、輸血によるE型肝炎発病の新聞報道がありましたが、今後の調査研究による解明が待たれます。)
さて、そのB型・C型肝炎ですが、大事なことは慢性化して肝硬変、肝癌へ移行する率が高いという事実です。定期的な検査(血液検査、超音波など画像診断)と管理によって重症化を予防しなければなりません。
日常生活では配偶者を除く他人への感染は殆ど心配する必要はないとされていますが、肝炎ウイルスが認められる人の観血は慎重に扱い、粘膜皮膚に直接触れないように注意して下さい。
うつらない肝炎としてはアルコールや薬物が直接肝細胞にダメージを与えたり、薬物のアレルギーが関与して起こる肝炎、あるいは自分の肝細胞に対する免疫の破綻によって引き起こされる自己免疫性肝炎が考えられます。伝染性の肝炎患者の使用済み器具は、他の患者の器具と区別し、消毒も特別の薬液を使用後、ガス滅菌しています。
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