子どもだけの治療/子どもの歯科治療というと、どうして母親を診療室に入れないのですかとよく質問されます。母子分能での治療は、子ども自身が、過去・現在・未来の区別ができる3歳以上なら可能で、これ以下では、子どもは母親から離れると不安が増大します。一時的にだけ母親と離れることを理解できないため、親に見放されたり、捨てられたと思うからです。
情緒の発達などから、3歳が母子分離の目安になりますが、初めは母親が診療室内の近くで見えるところにいると、子どもは治療に対して前向きな姿勢をとる決心をします。診療台で一人イスに座り、他の子どもが隣りで治療を受けるのを見て、受療の模倣をしようとするわけです。
ほかの子との比較はタブー/受療の模倣とは決心⇒自信⇒やる気のプロセスを自分自身で構築する場所だといえます。もし治療ができずに泣いている5歳の男の子に、「見なさい、3歳の女の子が泣かないで治療できるのよ」と言ったらどうでしょうか。5歳の子は言われなくても分かっていることを、さらに比較されるわけですから、ますますムカつきます。
日常生活においても、比較されて叱られるほど嫌なものはありませんね。時間をかけても、模倣させて待つようにしたいものです。
つられ泣きをする子は/母親の中には、前の子どもが泣いていると、自分の子もつられて泣いてしまうのではと一心配する人がいます。私の経験では、治療を受ける状況下では、つられ泣きははとんどみられません。
このように3歳以降では母子分離を子どもに実行させることは治療に大変有効ですが、母子関係の把握を誤ると大変在ことに在ります。そこで大事なことは、子どもと母親に生命力(生き生きとした関係)が感じられるかどうかがポイントになります。
もしベタベタした関係であれば、5、6歳でも、母親を診療室に入れて手足を抱いておさえるよう誘導します。これにより母親の決心⇒自信⇒やる気が表れるようなら、2〜3回後には母子分離が可能になります。
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