歯がはえかわる/保隙装置は乳歯が早く失われたとき、永久歯に萌えかわるまでの間、その場所を確保しておくための装置です。
乳歯は、食物を咬む仕事だけをしているのではありません。元気に嗅むことにより顎の発育を促します。また、根が吸収されるまで残って、永久歯のスペースを確保するのも重要な役目です(図)。
はやく抜けると…/もし、ひどいむし歯で本来の抜ける時期よりもずっと早期に乳歯を抜いてしまうと、いったいどうなるでしょう。抜歯により生じた隙間のとなりにある歯が、そのスペースに倒れ寄ってきます。また、もともと下顎の第一大臼歯(6歳臼歯)は乳歯を前方へ押しながら萌出してきます。このため乳歯を早く抜いてしまうと、後方歯の移動のため永久歯の場所が足りなくなり、乱杭歯(でこぼこ)となるのです。
保隙の種類/以上のことから、保隙の目的は、将来起りうる乱杭歯の歯ならびを予防することにあると理解できます。
保隙をするための装置(保隙装置)にはいろいろな種類があります。装置は、歯にしっかりと固定するタイプ(ワイヤーを用いたバンドループ/写真)と、取り外しのできるタイプ(入れ歯型)とに分けられますが、抜いた歯の部位や数、患者さんの年齢によって、使用する装置が異なります。また、現在のところ保隙装置には保険が適用されません。
メンテナンスが必要/保隙装置を口に中に装着すれば、あとはそのままというわけではありません。乳歯は抜け落ちたり、永久歯列が形成されるのに伴い歯肉の形が変わるため、定期的に調整が必要となります。この期間を通じて、むし歯をあらたにつくらないことも大切です。
また、骨格的に問題のある場合(うけ口等)や、顎の大きさのバランスが極端に悪い場合、すでに永久歯の萌出するスペースが足りなくなつてしまった場合などには、保隙だけでなく、本格的な矯正治療をお薦めしています。
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