◆予防歯科の重要性
厚労省の「歯科疾患実態調査」によると、8歳前後の子どものう蝕(ムシ歯)有病率は減少してきたとはいえ、60%を超えています。これほど罹患率の高い疾患は、ほかにはありません。子どもはもちろん、全年代にわたって一層のムシ歯予防の取り組みが必要です。
欧米ではすでに、定期的な歯科健診をはじめ、日頃から歯科専門家と一緒に歯や口の健康づくりに取り組む「予防歯科」が根付いています。日本でも、2012年に厚労省から「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」が告示されるなど、「予防歯科」を重んじる機運が高まりつつあります。
◆「プロケア」によって「セルフケア」が変わる
「予防歯科」の実践で大切なのは、歯科医院などでの「プロケア」と、自分で行う毎日の「セルフケア」です。この組合わせが大切なのはなぜでしょうか。
たとえばブラッシング。自己流でみがくのと、歯科の専門家の指導のもと「どんなところにムシ歯ができやすいか」を理解した上で行うのとでは、その効果はまったく異なります。また、年齢や口腔内の状態によって気をつけるべき点は変わるので、定期的な健診は欠かせません。さらに、日頃から歯科の専門家とかかわりをもつことで、口の中全般のケアに対する意識も高まります。
このように、「プロケア」による適切な指導や処置が、毎日の「セルフケア」の質を向上させます。「予防歯科」の"両輪"である二つのケアをしっかり実践し、生涯にわたって歯や口の健康づくりに取り組みましょう。
◆ハミガキ選びも予防歯科のポイント
日頃、何気なく使っているハミガキ。その多くに含まれている「フッ素」がとても重要な役割を果たしています。
フッ素は、カルシウムやリンを取り込んで、エナメル質を修復する再石灰化を促進したり、歯の質を強くしたりすることで、ムシ歯の発生と進行を防いでくれます。
ただし、フッ素配合のハミガキを使っても、お口の中のフッ素濃度は、時間とともに減少してしまいます。フッ素が口腔内に長くとどまるように工夫されたハミガキなどを上手に活用するとよいでしょう。また、歯みがき後のすすぎは、少量の水で1回くらいが適量です。
◆就寝中は要注意
デンタルリンスを上手に使って 一日の中で最も重要なのが、寝る前のケア。なぜなら、就寝中はムシ歯の原因となるミュータンス菌などの細菌が最も増殖しやすい時間帯だからです。寝る前には、殺菌剤配合のデンタルリンスを使うことを毎日の習慣にするとよいでしょう。
|