高齢社会を迎えて、寝たきりのお年寄りや重度の障害をもつ人たちの食べることの機能と楽しみを確保するため、歯科保健の重要性がひろく認識されるようになってきました。
これまで歯科治療は、歯科医院に通院して受けるのが当たり前で、特別な設備が必要なこともあり、歯科医院以外の場所で治療を行うことは不可能だと思われてきたのですが、最近では、こうしたハンディをもつ患者さんのために、歯科の訪問診療が積極的に行われています。
歯科の訪問診療は、患者さんを在宅で介護されている家族からの依頼、病院や特別養護老人ホームなど施設からの依頼の場合があります。
依頼された歯科医師は、まずは訪問して、患者さんのお口の状態を診査します。そして診療計画を立て、本人と家族に説明し、同意を得てから診療を開始します。
診療の内容は、歯科医院内の治療と基本的には変わりませんが、患者さんの全身状態、病気や体力の低下などを考えなくてはなりません。ですから、ある程度、控えめな処置で経過をみることが多いようです。
寝たきりの患者さんは、毎朝歯磨きを行うことが困難で、介助して磨いたとしても、なかなかうまく磨けず、口腔内は不衛生な状態になりがちです。そこで、食後の口腔内の清掃やケアの方に重点をおいて、とくに家族に協力してもらうことが多くなります。
寝たきりや障害のある人のために歯科の訪問診療を依頼したい時は、かかりつけの歯科医師か、市町村の歯科医師会が窓口となります。遠慮なくお尋ねください。
|