日本人の大人の半数以上は、歯周病にかかっていると言われ、歯を喪失する原因は、むし歯ではなく、歯周病の方が多くなってきています。
　歯周病は主に口の中の汚れ、歯の磨き残しにより、細菌が顎の骨を溶かし、歯が動いたり、歯茎が腫れたりする病気です。主な原因として、歯垢や歯石があげられます。
　歯周病になる前の状態が歯肉炎です。歯肉炎は、歯垢や歯石が沈着し、歯茎が腫れたり出血したり口臭がしたりしますが、この段階では、顎の骨はまだ溶けていません。歯肉炎までなら、適切なブラッシングにより、口腔内を健康な状態に戻すことができます。ところが歯周病まで進行すると、顎の骨は溶けて少なくなります。溶けてしまった顎の骨は、基本的に、元には戻りません。ですからこれ以上進行しないために、早期の発見と治療が必要なのです。
　歯周病は、原因である歯石・歯垢の適切な除去によってじゅうぶん予防が可能です。歯垢は主に細菌の代謝産物であるグルカンと細菌、その他の物質で構成され、１ｇ中の細菌の数は数億個にも及びます。歯垢を放置しておくと、カルシウムが沈着し、固い歯石になります。歯垢のうちはブラッシングで除去が可能ですが、歯石になると歯科医院でなければ取り除くことができません。特に歯茎の中に沈着した歯石は、歯ブラシも届かず、除去は困難で、歯周病の悪化にもつながります。

　歯石になる前に除去する―― すなわち、歯垢のうちに適切なブラッシングにより除去することが、歯周病予防のポイントなのです。