大人のむし歯の多くは、以前に治療したところが再びむし歯になるケースです。治療でつめられた材料と、歯の境目からむし歯が入りこみます。これは二次むし歯と言いますが、むし歯が見えにくいので、痛くなってから気づき、その時には進行していることが多いのです。 高齢者では、歯を支えている歯肉がさがって、歯根が露出します。歯の根元は弱い酸でも溶けてしまう象牙質でできている上に、歯ブラシが当てにくく、むし歯になりやすい。歯と歯の間もむし歯になりやすいといえます。 最近のむし歯の治療の主流は、悪くなった所だけを削り、レジンという人工材料を接着剤で貼りつけ、形を整えて特殊な光を当てて固めるという方法です。レジンの強度は歯とほぼ同じ。歯との境目は接着剤が隙間なくうめているので細菌の入りこむ余地がなく、二次むし歯にもなりにくくなっています。歯が欠けるなどした場合の修理も容易で、大きく欠けていなければ1回の治療で完了できます。ただし、治療したむし歯は、もともと細菌の集まったプラーク(歯垢)が付着しやすく、掃除しにくかった場所ですから、治療した歯は再度むし歯になりやすいのです。 「食べたら歯みがき」が予防の原則ですが、何回もできないなら、夜寝る前がベストです。唾液には、殺菌したり歯を侵す酸をうすめたりする働きがありますが、睡眠中は出にくいので、その前に歯みがきで原因を取り除くことが大切です。高齢者は、口の渇きを防ぐためにあめをなめることも多いようですが、むし歯を減らすためには、砂糖の入っていないあめやガムを選ぶようにしましょう。
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